月水金別館 映画れびゅー お気に入り度メモ (ネタばれあり)

個人的お気に入り度を☆で表しています。記録の都合上ネタバレのことが多いので、ご注意ください。

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映画「ヴェニスの商人」(2004)

原題:THE MERCHANT OF VENICE


お気に入り度
☆☆☆☆++


ご存知ウィリアム・シェイクスピアの名作「ヴェニスの商人」の映画化。
アル・パシーノの演技が圧巻。


全編にわたって、まさに、「シェイクスピア節」全開で、時代考証等も含め、かなり原作(Wikipedia)に忠実に再現されているほうだが、ユダヤ人への差別、宗教対立などの視点に重点がおかれ、原作の痛快な大岡裁きに中心をおいた喜劇ではなく、シリアスな、むしろ悲劇的な内容となっている。

この映画の中でのいわゆる悪役は、ユダヤ人のシャイロックだが、その視点に立てば、この話は全くの悲劇。ヴェニスの商人であるアントーニオに対して、全く慈悲の心がなく、シャイロックの悲劇は自業自得ともとれる話だが、その怒りや憎しみの根源に、キリスト教徒のユダヤ人への差別があることも忘れることはできない。物語の舞台となっているヴェニスでも、当然、その差別はあり、ゲットーも存在した。

このシャイロックの悲劇を、アル・パシーノが鬼気迫る演技で見事に演じている。その存在感のために、この映画の重点は、宗教差別問題、宗教対立問題に移ったといえよう。

最後には、ユダヤ教徒のシャイロックを、強制的にキリスト教徒に宗旨替えさせてしまうというのだから、そこだけ見れば酷い話だ。ここで、改宗を拒み殉教すれば、シャイロックやユダヤ教徒の名誉は守られるのだろうが、そこまでしないのは無理も無い話だろう。シェイクスピアは、基本的にはキリスト教徒を善として描いているのだが、時代背景からそうせざるを得なかったのかしれない。しかし、少し考えれば、命乞いをさせ、実質脅迫して改宗までさせるのが、真の慈悲なのか、という疑問が生じる。キリスト教徒の言う慈悲は、ときに無慈悲である。そのあたりシェイクスピアの卓越したところで、単調な善悪の物語にはせず、ある意味皮肉な、別の観点・視点も、ときにはひっそりと提供し、物語に深みや複雑さを与えている。

やはり、シェイクスピアは偉大だと思うと同時に、アル・パシーノも偉大な役者なんだと思える、そんな映画でした。


主役の男性は、ゾンビの出てくる海外ドラマ「ウォーキング・デッド」の主役のジョセフ・ファインズで、あのドラマがあまりにも印象的なので、どうしてもそういう雰囲気で見てしまって、映画を楽しむ上では、大変マイナスになった。やはり、テレビドラマの俳優と、映画の俳優は、分けてもらったほうがいいかも。ERのダグこと、ジョージ・クルーニーも、しばらくはその雰囲気が感じられてしまって、映画を見るときにマイナスだった。

アル・パシーノの演技がなければ、ありふれた「ヴェニスの商人」の一つになるだけで、どうということのない映画になったと思う。お気に入り度の☆4++には、もちろん、アル・パシーノの寄与が大。


「ヴェニスの商人」で語られるテーマは、頻繁に議論されているテーマでもある。ユダヤ教徒に金貸しが多いのは、キリスト教では金利をとってお金を貸すということが宗教的に禁じられており、一方ではユダヤ人は迫害されて農業や手工業等様々な生産手段を封じられているためといわれている。

副次的なプロットとして、嫁をとるのに、金・銀・鉛の箱から一つ選ばせる物語も含められているが、その物語の教訓は、「見かけに騙されるな」ということのようだ。これをいわゆる「大岡裁き」の主題に絡めているのは、どういう深い意味があるのか、深い意味はないのか、興味深いところではある。


Wikipedia



テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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