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月水金別館 映画れびゅー お気に入り度メモ (ネタばれあり)

個人的お気に入り度を☆で表しています。記録の都合上ネタバレのことが多いので、ご注意ください。

映画「農夫の妻」(1928)

原題:THE FARMER'S WIFE


お気に入り度
☆☆☆+


イギリス、白黒サイレント時代の、ヒッチコックの他愛の無いロマンテックコメディ。
味わい深く、面白かったのだけど、現代的にはまったりしすぎな展開がマイナスで、相殺してのお気に入り度☆3+
サイレント時代の映画としては、名作といっても良いかもしれない。


初老の裕福な農場主が妻に先立たれ、娘も嫁いでいったために心細くなり、再婚を決意する。

召使いの若い女性ミンタとともに、再婚相手の候補四人のリストを作り、順繰りに結婚を申し込みに行くが、三人連続で断られる。次の四人目も上手くいかず、意気消沈しているとき、気立ての良いミンタの存在に気付く。ミンタに結婚を申し込むと、ミンタのほうもかねてより、恋心を抱いていたので、すぐに承知し、めでたしめでたしの結末となる。

なんとも、ほんわか、小さな幸せ的ハッピーエンドな、シンプルなストーリー。シェークスピアの恋愛喜劇に通じるものを感じる。

ストーリーはシンプルなのだけど、細々とした感情描写や、コメディも楽しい。後の大巨匠ヒッチコック、当時29才ぐらいの才能が光る。

冒頭のシーン、二匹の子犬が、階段をコロコロと駆け上がり、その最上段のあたりで、ちょこんと顔を出して死に際の女主人の部屋を見るシーンは、なかなかのもの。

病床に臥している女主人が召使のミンタに、主人の下着を干すように言うのは、ミンタの位置づけが理解できて面白い。そして、干された下着のいくつかのシーンを経て、女主人のベッドが空になっていて、そこで洗濯物をたたんでいるミンタのシーンで、女主人が亡くなったことや、月日の経過が手っ取り早くわかる。

ミンタはヒロインなので、白黒ながら、出来るだけ美しく撮られている。また、よく働いているシーンが多く、ミンタの性格が描写されている。中年男性の下品な感じの召使いが、コミカルな場面をよく演じている。いわゆる道化の役回りだが、シェークスピア演劇などにもよくあるように、道化がときどき吐く本音が、真実を突いていたりして、映画のスパイスになっている。

主役の農場主が結婚を申し込む、中年~初老の女性たちも、劣悪なのばかりで、面白い。

まず最初に結婚を申し込む中年女性は、正面からは見づらいが、後から見るとまずまずという設定。そういう農場主に、ミンタは結婚すれば正面からも見ることになりますよ、と忠告する。結婚を申し込みにいくと、その中年女性は「自分は独立した女性だ」といって断る。1928年でも、そういう場面が映画にあるというのが興味深い。この女性は豪快な大酒飲みっぽい。

二人目は、「性的冒険の最初の相手としては相応しいが、男性に庇護されたくない」という。これも微妙に現代的で面白い。しかもこの女性は、神経質で、おどおど、ビクビクしていて、振る舞いが奇妙。

三人目は、やはり現代でも居そうな、中年なのにロリ系のフリフリの服を着た若作りの女性で、ヒステリー持ち。ヒステリーを起こすと、手や足をバタバタさせるのが、漫画みたい。農場主にフリフリの服や帽子を指摘されてヒステリーを起こす。若い男性を狙ってるのが、農場主を断った理由だが、後で気が変わって農場主のところにやってくるも、時既に遅く、ミンタと結婚の約束をした後だった。女性郵便局長という設定。

四人目は酒場の女主人。これに結婚の申し込みを行ったが上手くいかなかったわけだが、帰ってきて家に入ろうとしているときに、中年男性の召使いが、機嫌が悪ければ失敗したということだと、ミンタに話しているのを聞いて、上機嫌を装う。ミンタはその様子をみて、がっかりしているという感情描写。すなわち、四人目の申し込みに成功したのかとミンタは思いそれでがっかりするということで、ミンタの農場主への恋心が描写される。

これら四人の中年女性は、若くてきれいで、気立ての良いミンタの引き立て役。最後のあたりでは、ミンタは亡くなった女主人に貰ったというきれいな服を着る。

農場主の申し込みのときの決まり文句、「自分は子供のように素直だが、軍隊のように強い」というのが面白い。最後にミンタに申し込むときには、後段は捨てて、「自分は子供のように素直だ」と、へりくだるようになるのが面白い。農場主も、三回の「失恋」?を通して、成長したふうになっている。



allcinema


なぜか、allcinemaの解説では、ヒロインのミンタ(Aramintaの愛称)が、「アラミタ」という名前になっている。


テーマ:恋愛映画・ロマンティックコメディ - ジャンル:映画

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